問19 アパシーに対して有効な薬剤をえらべ。 a) トラゾドン b) バルプロ酸 c) ガバペンチン d) SSRI e) コリンエステラーゼ阻害薬 解答を読む
解答 e) アパシーに対しては、作業療法を試みたのち、効果が無ければコリンエステラーゼ阻害薬が第一選択薬として用いられる。 バルプロ酸はけいれんに使用される薬剤だが、高齢者にも使用しやすく、易怒性、攻撃性の気分障害にも有効である。
問20 誤嚥予防効果のある薬剤として、不適切なものをえらべ。 a) 半夏厚朴湯 b) シロスタゾール c) アマンタジン d) 抗コリン薬 e) リバスチグミン 解答を読む
解答 d) 誤嚥予防に有効な薬剤としてACE阻害薬がよく知られているが、本設問の正答に挙げた薬剤も嚥下機能を改善させたという報告がある。一方、抗コリン作用のある薬剤は誤嚥性肺炎のリスクが増すとされている。
問21 88歳男性。1年前から認知症と診断され、リバスチグミン、抑肝散が処方されている。下腿が全体的にむくんできたため、家族につれられて来院した。 胸部レントゲン写真で胸水や心拡大は無く、採血検査ではBNP 15 pg/dl、TSH 1.2 μIU/ml、FT3 2.7 pg/ml、FT4 1.1 ng/ml、血清CRE値 0.6 mg/dlであった。 浮腫の原因として最も考えられるものをえらべ。 a) 腎機能不全 b) 心不全 c) 甲状腺機能低下症 d) 抑肝散による薬剤性浮腫 e) リバスチグミンによる薬剤性浮腫 解答を読む
解答 d) 高齢者は様々な理由で浮腫を生じるが、薬剤性浮腫も鑑別に挙げるべきである。近年、易怒性の不穏症例をはじめとして抑肝散を使用シーンが増えてきているが、その副作用も覚えておく必要がある(6か月以上副作用している症例で見られる)。一方、リバスチグミンではパッチ貼付部の限局した浮腫が生じることがある。
問22 Lewy小体型認知症の診断基準における中核的特徴として当てはまらないものはどれか。 a) 認知の変動 b) 幻視 c) レム期睡眠行動異常症 d) パーキンソニズム e) 高度の自律機能障害 解答を読む
解答 e) Lewy小体型認知症(DLB)は、元々本邦で提唱された疾患であり、2017年には新たな診断基準が発表されたばかりである。Lewy小体は消化管や心臓などの全身で認められることから、本疾患は全身性疾患として認識する必要がある。DLBと、パーキンソン病に伴った認知症とを鑑別するのは非常に難しく、本質的な差異は未だ見出すことができていない。 新たな診断基準では、a)~d)の中核的特徴のうち、2つ以上が同定される、または、中核的特徴1つと指標的バイオマーカー1つが同定されれば、probable DLBとされる。 筋緊張低下を伴わないREM睡眠はLewy小体病理と非常に特異性が高いとされ、重要な所見である。 選択肢e)に挙げた自律機能障害、嗅覚鈍麻、妄想、うつ、アパシーなどは支持的特徴とされる。
問23 Lewy小体型認知症の指標的バイオマーカーとして当てはまらないものを二つえらべ。 a) MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下 b) 脳波での後頭部の徐波活動 c) SPECTやPETでの基底核におけるドパミントランスポーターの取り込み低下 d) SPECTやPETでの全般性取り込み低下 e) CTやMRIで側頭葉内側が保持 解答を読む
解答 b)、d) 文章の通り。 MIBG心筋シンチグラフィで取り込みが低下する所見は、他のパーキンソニズムを呈する疾患との鑑別に有用であり、ドパミントランスポーターシンチグラフィはAltzheimer型認知症との鑑別に有用である。両方の検査とも保険適応となっている。 側頭葉や海馬の萎縮はAltzheimer型認知症の特徴であり、Lewy小体型としては非典型的である。
問24 トランスポーターシンチグラフィのイメージングに影響を与えるものを二つえらべ。 a) SSRI b) SNRI c) コリンエステラーゼ阻害薬 d) レボドパ e) MAO-B阻害薬 解答を読む
解答 a)、b) トランスポーターシンチグラフィは、高い感度と特異度でDLBとAltzheimer型認知症を鑑別できる。服薬内容で検査結果に影響が出るため、上記a)、b)内服中の場合は代替薬や休薬を考慮する必要がある。
問25 意味性認知症を示唆するエピソードを二つえらべ。 a) 幻聴を訴える b) 財布を盗られたと詰め寄ってくる c) 信号機を見せても「光ってるな」としか答えられない d) 飲酒量が増える e) 国会議事堂の写真を見せると「変な建物だな」と言う 解答を読む
解答 c)、e) 前頭側頭葉型認知症は、行動障害型、意味性認知症、進行性非流暢性失語の3つに分類される。意味性認知症では、物品呼称や単語理解の障害がみられる。
問26 前頭側頭葉型認知症において、行動障害型で認められる画像所見を二つえらべ。 a) 下側頭回優位の側頭葉萎縮 b) 側頭葉前部の萎縮 c) 前頭葉の萎縮 d) 島の萎縮 解答を読む
解答 b)、c) a)は意味性失語、d)は進行性非流暢性失語の所見である。